2013年10月に開催された、日本財政学会の第70回大会において、特別講演「消費税率引上げではなく、直接税改革を」を行いました。
この講演では、日本の消費税について改革すべきことを指摘しました。講演の内容は、『「社会保障・税一体改革」後の日本財政 財政研究 第10巻』(有斐閣・2014年10月)に収録されています。
2014/12/28
現行の消費税が強い景気抑制効果を持つ根拠
2014年12月7日の日本経済新聞におけるインタビュー記事「世代間の公平、確保を」で、私は、現行の消費税が強い景気抑制効果を持っていることを前提に、税率引き上げの前に行うべき改革の方向を指摘しました。このインタビュー記事を以下に引用します。
この前提の根拠は、「今こそ財政拡大が景気拡大に結びつく」(エコノミスト誌・2003年4月1日)で明らかにしました。
なお、2011年の「社会保障改革に関する集中検討会議(第九回)」での「社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書」に示された私の発表意見は、上記のエコノミスト論文に基づいています。
──消費税の再増税延期をどう見ますか。
「よかったと思っている。今の消費税のままでは景気に対して悪影響があるためだ。特に低所得の人が苦しい。住宅や自動車といった耐久消費財の消費も減退させる。これは増税前の駆け込み需要の反動による一時的なものではない。お金を借りてモノを買うとき、借り入れには限度額があるが、消費税率が上がったからといって限度額は増えない。消費税が上がった分、実質的に購買力が減ってしまう。これは恒久的な影響だ」
「再増税まで時間的余裕ができたので、導入が予定されているマイナンバー(社会保障と税の共通番号)も活用し、低所得者向けの対策をしっかり実行してほしい。住宅や車にかける消費税はやめるべきだ。その分は固定資産税の上物部分の税率を上げたり、車に保有税をかけたりすることで賄うべきだ」
──社会保障の財源としては本来、何が適切なのでしょうか。
「高所得者に対する課税強化のほか、(株式などの)譲渡益課税、相続税など直接税を拡充していくことも大切だ。所得税を減らして消費税を上げていく対応では、格差の拡大につながってしまう。ただ社会保障は機能別に財源を考えていく必要がある」
「社会保障は大きく2種類に分けることができる。一つは生活保護など所得再配分の仕組み。ここは税金が財源となる。もう一つは健康保険や年金などの社会保険。こちらは所得再分配の仕組みではなく、保険であることを明確にして、主には社会保険料で賄うようにすべきだ」
──社会保障の各制度はどのように改革すればよいでしょうか。
「年金制度については、政府が2004年に実施した改革の理念は正しい。このときの改革で保険料の上限を決め、その財源の範囲で年金を給付する形にした。それまでは給付を先に決め、それに必要な保険料を徴収していたから、若い世代にどんどん重い負担となっていた。今の制度は世代間の負担の不平等をなくしていける」
「ただし一定の財源内に収まるように今よりも年金給付水準を下げていくマクロ経済スライドは、デフレ経済下でも厳密に実施しなければならない。年金が下がるのがいやな人は、できる限り長く働いて年金を通常よりも遅くもらい始めるようにしたい。そうすれば年金額は増える仕組みになっている」
「今の制度では高齢者がもらえる年金原資は一定範囲で決まっているのだから、それを早くから少なめの金額でもらうか、遅くからもらって厚くするか、個人の選択に任せればよい」
──年金制度は大きく形を変えるべきだとの意見もあります。
「(全国民に共通する公的年金である)国民(基礎)年金については、保険料の未納問題が深刻だ。このために老後、無年金や低年金になり、生活保護に頼る人を増やしている」
「国民年金保険料は廃止して、給付に必要な財源をすべて税金で賄う方式にしてはどうだろうか。厚生年金に加入している人も厚生年金保険料の中に含まれる国民年金分の保険料を引き下げることができて負担減になる」
「国民年金は全国民に一律に支払うのだから、保険で実施するより、税を財源とする考えもあり得る。きちんと支給されるようになれば、無年金問題なども解決し、生活保護を受ける高齢者を減らすことができる。新たな税財源が必要にはなるが、所得税の強化や低所得者対策を講じたうえでの消費税増税で集めた税金を充てればよい。年金保険料負担は減るので、増税を受け入れる余地も出てくるだろう」
──その他の制度についてはどうでしょうか。
「医療や介護についても本質的には年金制度と同じように、若い世代の負担がどんどん増えることがないような仕組みにしていくべきだ。また日本は(どんな症状でもまず診てくれるかかりつけ医などの)プライマリーケアが弱い。ここを充実させることは医療の効率化に役立ち、患者にとってもありがたい」
「生活保護については、いったん受給者になっても、またそこから出ていきやすいような仕組みづくりが必要だ。保育についても、規制緩和で保育士や保育所が増えていくようにしないといけない」
はった・たつお 1966年国際基督教大卒、ジョンズ・ホプキンス大教授など歴任。アジア成長研究所所長。71歳。
この前提の根拠は、「今こそ財政拡大が景気拡大に結びつく」(エコノミスト誌・2003年4月1日)で明らかにしました。
なお、2011年の「社会保障改革に関する集中検討会議(第九回)」での「社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書」に示された私の発表意見は、上記のエコノミスト論文に基づいています。
2014/12/10
講演 “Economic Growth and Cities” 復旦大学
2014/12/10
復旦大学にて、“Economic Growth and Cities” をテーマに講演を行いました。
講演のハンドアウトは、次のリンクからご覧ください。
"Economic Growth and Cities"
Hatta gave a speech on "Economic Growth and Cities" in Fudan University.
The PowerPoint slide used in that seminar is here.
復旦大学にて、“Economic Growth and Cities” をテーマに講演を行いました。
講演のハンドアウトは、次のリンクからご覧ください。
"Economic Growth and Cities"
Hatta gave a speech on "Economic Growth and Cities" in Fudan University.
The PowerPoint slide used in that seminar is here.
2014/12/07
「世代間の公平、確保を」 日本経済新聞
2014年12月07日
日本経済新聞の朝刊「日曜に考える 1」欄に、インタビュー記事「世代間の公平、確保を」が掲載されました。
この記事は、消費税率引き上げの前に、「現行消費税の持つ強い景気抑制効果」を除去する改革が必要であることを指摘しています。
ここで前提している「現行消費税の強い景気抑制効果」は、2011年の内閣府「社会保障改革に関する集中検討会議(第九回)」における私の発表意見で指摘しています。これは、2011年の内閣府「税と社会保障の一体改革に関する検討委員会報告書〈全文〉」の69ページに記載されています。
日本経済新聞の朝刊「日曜に考える 1」欄に、インタビュー記事「世代間の公平、確保を」が掲載されました。
この記事は、消費税率引き上げの前に、「現行消費税の持つ強い景気抑制効果」を除去する改革が必要であることを指摘しています。
ここで前提している「現行消費税の強い景気抑制効果」は、2011年の内閣府「社会保障改革に関する集中検討会議(第九回)」における私の発表意見で指摘しています。これは、2011年の内閣府「税と社会保障の一体改革に関する検討委員会報告書〈全文〉」の69ページに記載されています。
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※12月14日改訂
※12月14日改訂
2014/10/31
2014/10/30
Discussion “No Need to Fear a Fall in Population”, Discuss Japan - Japan Foreign Policy Forum
2014年10月30日
Discuss Japan - Japan Foreign Policy Forum において、Discussion “No Need to Fear a Fall in Population” が掲載されました。
対談の内容は、次のリンクからご覧ください。〈全文〉
Discuss Japan - Japan Foreign Policy Forum において、Discussion “No Need to Fear a Fall in Population” が掲載されました。
対談の内容は、次のリンクからご覧ください。〈全文〉
2014/10/23
政策スポットライト「保育士不足問題の解決策」 経済同友会政策分析センター
2014/10/23
経済同友会政策分析センターにおいて、「保育士不足問題の解決策」をテーマに、中村紀子氏(株式会社ポピンズ代表取締役CEO)をゲストにお迎えしてお話を伺いました。
対談の内容は、次のリンクからご覧ください。
〈保育士不足問題の解決策〉
経済同友会政策分析センターにおいて、「保育士不足問題の解決策」をテーマに、中村紀子氏(株式会社ポピンズ代表取締役CEO)をゲストにお迎えしてお話を伺いました。
対談の内容は、次のリンクからご覧ください。
〈保育士不足問題の解決策〉
2014/09/30
論文「山手線・中央線沿線駅前における違法駐輪対策の効果 -集計ロジットおよびトービット分析-」AGI Working Paper Series
AGI Working Paper Series に、唐渡広志氏との共著論文「山手線・中央線沿線駅前における違法駐輪対策の効果 -集計ロジットおよびトービット分析-」が掲載されました。
論文はAGIのリポジトリでご覧いただけます。
論文はAGIのリポジトリでご覧いただけます。
2014/08/31
2014/06/30
論文:「違法駐輪対策としての駐車料金引き下げ、駐車場建設、撤去率引き上げの効果比較」ICSEAD Working Paper Series
2014/06
ICSEAD Working Paper Series に、佐々木芙美子氏・唐渡広志氏との共著論文「違法駐輪対策としての駐車料金引き下げ、駐車場建設、撤去率引き上げの効果比較」が掲載されました。
論文は、AGIのリポジトリからご覧ください。
ICSEAD Working Paper Series に、佐々木芙美子氏・唐渡広志氏との共著論文「違法駐輪対策としての駐車料金引き下げ、駐車場建設、撤去率引き上げの効果比較」が掲載されました。
論文は、AGIのリポジトリからご覧ください。
2014/06/25
2014/05/01
政策スポットライト「横浜市の保育政策「横浜方式」の核心」 経済同友会政策分析センター
2014/05/01
経済同友会政策分析センターにおいて、「横浜市の保育政策「横浜方式」の核心」をテーマに、鯉渕信也氏(横浜市役所こども青少年局長)をゲストにお迎えしてお話を伺いました。
対談の内容は次のリンクからご覧ください。
〈政策スポットライト 横浜市の保育政策「横浜方式」の核心〉
経済同友会政策分析センターにおいて、「横浜市の保育政策「横浜方式」の核心」をテーマに、鯉渕信也氏(横浜市役所こども青少年局長)をゲストにお迎えしてお話を伺いました。
対談の内容は次のリンクからご覧ください。
〈政策スポットライト 横浜市の保育政策「横浜方式」の核心〉
2014/03/28
「再稼働説を支える3つの神話と1つの真実」ダイヤモンド・オンライン
2014/3/28
ダイヤモンド・オンライン シリーズ・日本のアジェンダ 第5回 「再稼働説を支える3つの神話と1つの真実」
ダイヤモンド・オンラインに寄稿いたしました。
全文はこちらのリンクからご覧ください。〈全文〉
ダイヤモンド・オンライン シリーズ・日本のアジェンダ 第5回 「再稼働説を支える3つの神話と1つの真実」
ダイヤモンド・オンラインに寄稿いたしました。
全文はこちらのリンクからご覧ください。〈全文〉
2014/03/27
講演:「アベノミクスと住宅政策を含む成長戦略」
2014/3/27
CIRJE住宅政策研究会シンポジウム「アベノミクス-日本経済に明るい未来は来るのか-」
日本経済国際共同研究センターにて行われた住宅政策研究会シンポジウムにて、講演を行いました。
CIRJE住宅政策研究会シンポジウム「アベノミクス-日本経済に明るい未来は来るのか-」
日本経済国際共同研究センターにて行われた住宅政策研究会シンポジウムにて、講演を行いました。
2014/03/11
講演:『国家戦略特区はなぜ必要か』、日本経済研究センター大阪支所
国家戦略特区に関して、下記の通りに講演を行いました。
開催日時:2014年1月28日(火)
主催:日本経済研究センター大阪支所
講演:『国家戦略特区はなぜ必要か』
日本経済研究センター大阪支所 ウェブサイト<リンク>
2014/02/18
政策スポットライト「待機児童問題の解決策:福祉と市場の役割分担」 経済同友会政策分析センター
2014/02/18
経済同友会政策分析センターにおいて、「待機児童問題の解決策:福祉と市場の役割分担」をテーマに、八代尚宏氏(国際基督教大学教養学部客員教授)をゲストにお迎えしてお話を伺いました。
対談の内容は次のリンクからご覧ください。
〈政策スポットライト 待機児童問題の解決策:福祉と市場の役割分担〉
経済同友会政策分析センターにおいて、「待機児童問題の解決策:福祉と市場の役割分担」をテーマに、八代尚宏氏(国際基督教大学教養学部客員教授)をゲストにお迎えしてお話を伺いました。
対談の内容は次のリンクからご覧ください。
〈政策スポットライト 待機児童問題の解決策:福祉と市場の役割分担〉
2014/01/22
2014/01/15
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