うなぎ料理店「田舎庵」の主人、緒方弘氏との対談の模様が、西日本新聞に掲載されています。
本対談は、AGIの成長戦略フォーラムにて行いました。
国家戦略特区ワーキンググループの委員全員による以下の抗議文を、朝日新聞社に対して、本日18時過ぎに投函しました。
この抗議文は、同紙1月16日記事「企業の農地取得2年延長へ」の明らかな事実誤認に対して、抗議するとともに、迅速な訂正と再発防止策の徹底を求めるものです。
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株式会社朝日新聞社
代表取締役社長 渡辺雅隆殿
国家戦略特区ワーキンググループ
座長 八田達夫
ほか委員一同 秋山咲恵、阿曽沼元博、安念潤司、岸博幸、
中川雅之、原英史、本間正義、八代尚宏
本件記事は明らかな誤報を含み、1月18日付で養父市長から抗議文が発出されていますが、いまだに記事の訂正がなされていません。
このような誤った記事は、国家戦略特区の運用に重大な支障をもたらします。
厳重に抗議するとともに、迅速な訂正、今回の事態がなぜ生じたのかの検証、再発防止策の徹底を求めます。
以下の点が明らかな事実誤認です。
1. 記事の記載:「農水省によると、養父市では特例に基づいて6社が計1・65ヘクタールの農地を取得したが、実際に農業を営んでいる面積はそのうちの7%弱にとどまる。」
→ 事実: 実際には、「6社の取得した1.64ヘクタールのうち、実際に農業を営んでいる面積は99.1%。残る0.015ヘクタールも令和3年度中に再開予定」です。
なぜここまで事実とかけ離れた記事が掲載されたのか、およそ理解できません。仮に農水省から誤った情報を伝えられたにせよ、特区の運用を担う内閣府および養父市に確認すべきだったことは当然です。
2. 記事の記載:「農水省幹部は『特例で地域の農業が活性化したとは言えず、取得した後で農地の転売や耕作放棄をするケースもないとは言えない』と話す。」
→ 事実: 実際には、本特例措置により、さまざまな農業経営モデルの確立、6次産業化の促進など、地域農業の活性化が図られ、雇用拡大の効果も生じています。
また、養父市の特例では、耕作放棄などが生じた場合には市が買い戻す制度等が設けられています。これまで問題は生じていません(上記0.015ヘクタールについても再開予定が立っているものです)。
これらのことも、特区の運用を担う内閣府または養父市に確認すれば直ちに判明したはずのことです。また、昨年12月の特区諮問会議においても高い評価がされていたことは議事録を見れば明らかでした。
以上のとおり、本件記事は、当事者に取材するという報道の基本原則を踏み外す、あり得ない誤報です。
アジア成長研究所の雑誌『東アジアへの視点』に、保科寛樹氏との共著論文「人口成長率の低下は,生産性を上昇させる傾向がある」を執筆しました。
要旨
「人口成長率の低下は生産性(1人当たりGDP)の成長率を下げる」という因果関係は,広く信じられており,地方への人口分散政策や外国人単純労働者受け入れ政策の与件とされていることが多い。この命題は,労働力投入の増大による集積の経済がもたらす生産性増大効果が強く,その効果が,労働の限界生産力逓減の法則による生産性低減の効果を超えることを,暗黙の内に前提としている。本稿では,この因果関係が実証的に成り立っていないことを明らかにする。具体的には,OECD加盟国,およびOECDにASEAN加盟国・中国・インドを加えた各国の,1961~2019年間のデータを分析対象として,次を示す。(1)この全期間において,人口成長率と1人当たりGDP成長率との間に,統計的に有意な正の相関関係は成り立たない。この間を10年ごと・20年ごとなどに分割したどの期間についても,同様である。(2)本稿で分析した大多数のサンプルグループにおいて,統計的には有意でないものの逆の関係が回帰分析では観察される。(3)特定の期間と国グループの組み合わせでは,負の関係が統計的に有意に成り立つ。これらの事実は,一般に広く信じられているほどには集積の利益が強くないことを実証的に示している。「人口成長率の低下が生産性の成長率を下げる」という因果関係は,実証的に検証されていないという事実は,広く政策担当者に認識されるべきであろう。
八田達夫・保科寛樹(2020)「人口成長率の低下は,生産性を上昇させる傾向がある」,『東アジアへの視点』,第31巻2号,2020年12月,http://shiten.agi.or.jp/2020/12/1559/