2021/07/15

山崎福寿氏を悼む

本年1月に逝去された山崎福寿氏への追悼文が、日本不動産学会誌(Vol. 35, No. 1)に掲載となりました。謹んで哀悼の意を表します。

「日本特有の経済問題を正面から分析した山崎福寿氏を悼む」

2021/03/14

Enhancing Asian Economic Development Post-COVID

2020年11月30日にオンラインで開催された、 Horasis Asia Meeting 2020 に、パネリストとして参加しました。当日の模様をYouTubeでご覧いただけます。




2021/01/20

朝日新聞1月16日付記事「企業の農地取得2年延長へ」に対する抗議文

国家戦略特区ワーキンググループの委員全員による以下の抗議文を、朝日新聞社に対して、本日18時過ぎに投函しました。

この抗議文は、同紙1月16日記事「企業の農地取得2年延長へ」の明らかな事実誤認に対して、抗議するとともに、迅速な訂正と再発防止策の徹底を求めるものです。

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2021年1月20日

株式会社朝日新聞社
代表取締役社長 渡辺雅隆殿

国家戦略特区ワーキンググループ
座長 八田達夫

ほか委員一同 秋山咲恵、阿曽沼元博、安念潤司、岸博幸、

中川雅之、原英史、本間正義、八代尚宏

 

貴紙1月16日付記事「企業の農地取得2年延長へ」について

本件記事は明らかな誤報を含み、1月18日付で養父市長から抗議文が発出されていますが、いまだに記事の訂正がなされていません。

このような誤った記事は、国家戦略特区の運用に重大な支障をもたらします。

厳重に抗議するとともに、迅速な訂正、今回の事態がなぜ生じたのかの検証、再発防止策の徹底を求めます。

以下の点が明らかな事実誤認です。

1. 記事の記載:「農水省によると、養父市では特例に基づいて6社が計1・65ヘクタールの農地を取得したが、実際に農業を営んでいる面積はそのうちの7%弱にとどまる。」

事実: 実際には、「6社の取得した1.64ヘクタールのうち、実際に農業を営んでいる面積は99.1%。残る0.015ヘクタールも令和3年度中に再開予定」です。

なぜここまで事実とかけ離れた記事が掲載されたのか、およそ理解できません。仮に農水省から誤った情報を伝えられたにせよ、特区の運用を担う内閣府および養父市に確認すべきだったことは当然です。

2. 記事の記載:「農水省幹部は『特例で地域の農業が活性化したとは言えず、取得した後で農地の転売や耕作放棄をするケースもないとは言えない』と話す。」

事実: 実際には、本特例措置により、さまざまな農業経営モデルの確立、6次産業化の促進など、地域農業の活性化が図られ、雇用拡大の効果も生じています。

また、養父市の特例では、耕作放棄などが生じた場合には市が買い戻す制度等が設けられています。これまで問題は生じていません(上記0.015ヘクタールについても再開予定が立っているものです)。

これらのことも、特区の運用を担う内閣府または養父市に確認すれば直ちに判明したはずのことです。また、昨年12月の特区諮問会議においても高い評価がされていたことは議事録を見れば明らかでした。

以上のとおり、本件記事は、当事者に取材するという報道の基本原則を踏み外す、あり得ない誤報です。

2021/01/15

論文「人口成長率の低下は,生産性を上昇させる傾向がある」

アジア成長研究所の雑誌『東アジアへの視点』に、保科寛樹氏との共著論文「人口成長率の低下は,生産性を上昇させる傾向がある」を執筆しました。

要旨
 「人口成長率の低下は生産性(1人当たりGDP)の成長率を下げる」という因果関係は,広く信じられており,地方への人口分散政策や外国人単純労働者受け入れ政策の与件とされていることが多い。この命題は,労働力投入の増大による集積の経済がもたらす生産性増大効果が強く,その効果が,労働の限界生産力逓減の法則による生産性低減の効果を超えることを,暗黙の内に前提としている。本稿では,この因果関係が実証的に成り立っていないことを明らかにする。具体的には,OECD加盟国,およびOECDにASEAN加盟国・中国・インドを加えた各国の,1961~2019年間のデータを分析対象として,次を示す。(1)この全期間において,人口成長率と1人当たりGDP成長率との間に,統計的に有意な正の相関関係は成り立たない。この間を10年ごと・20年ごとなどに分割したどの期間についても,同様である。(2)本稿で分析した大多数のサンプルグループにおいて,統計的には有意でないものの逆の関係が回帰分析では観察される。(3)特定の期間と国グループの組み合わせでは,負の関係が統計的に有意に成り立つ。これらの事実は,一般に広く信じられているほどには集積の利益が強くないことを実証的に示している。「人口成長率の低下が生産性の成長率を下げる」という因果関係は,実証的に検証されていないという事実は,広く政策担当者に認識されるべきであろう。

八田達夫・保科寛樹(2020)「人口成長率の低下は,生産性を上昇させる傾向がある」,『東アジアへの視点』,第31巻2号,2020年12月,http://shiten.agi.or.jp/2020/12/1559/

2020/12/27

養父市における「企業の農地所有」の成功実績の全国展開

12月21日に開催された「第48回 国家戦略特区諮問会議」の議事要旨が、国家戦略特区のウェブサイトにて公表されました。

この会議では、農業分野の規制改革、特に、兵庫県養父市における「企業の農地所有」特区特例措置の全国展開について議論が行われました。八田は諮問会議において、以下の発言をしました。

○八田議員 ありがとうございます。それでは、資料5を説明させていただきます。
 第1項目は、全国展開についてです。国家戦略特区は規制改革の突破口です。このため、特区で実現した規制改革は実施状況を評価し、その上で特段の問題がなければ、全国展開をするのが原則です。これは特区基本方針に定められております。
 次のページです。農業分野の規制改革についてです。企業の農地所有と農業委員会の特例措置は、特区諮問会議において評価され、十分な成果が確認されており、全国展開を進めるべき段階に来ております。
 企業の農地所有に関しては、従来措置の継続に向けての政務間の御努力に対して敬意を表します。その一方で、養父市限定にとどめず、養父方式の全国展開に向けた協議を早急に進めていただく必要があります。この段階でそうしないことは、特区制度の原則に反することだからです。
 ところが、農林水産省は、全国展開の条件として、特区諮問会議での評価を無視して、改めて新たな基準で評価をするよう、やり直しを求めております。その理由として、与党の反対を挙げており、特区事務局もそれなら仕方がないとしております。
 次に、下から2番目の○です。以下は、詳しめに御説明いたします。元々農林水産省が企業農地所有に反対する理由は、耕作放棄地や産廃の置場になるからだということでした。しかし、養父市での企業参入はそれらの弊害を起こしませんでした。その一方で、雇用を100人増やしました。そのことに関する手続を踏んだ評価を無視して、後出しじゃんけんで新たな基準を際限なく繰り返すことを許せば、この規制は永遠に岩盤であり続けます。企業による農地所有を全国で可能にすることは、日本の規制改革の一丁目一番地です。この改革すらできなければ、日本の成長は望めないと思います。全ての規制所管省庁に対して、法制度に従った行政運営を行うよう、改めて徹底をお願いしたいと思います。
 さて、最後の○ですが、これは農業委員会の特例措置の全国化についてです。農業委員会に関する特例措置によって、特区では、農地の権利移転に関する許可業務を市役所が行えることになりました。これで月1回の農業委員会の総会を待つことなく迅速に許可できるようになりました。このため、特例措置が適用されていた3特区全てで事務処理能力が大幅に短縮されました。
 ところが、11月30日の規制改革推進会議のワーキンググループで、農林水産省は、全国化に反対しました。その根拠として、「平成28年以降は特区適用は行われていない」と説明して、「特区の特例措置は活用されていない」という印象を与えようとしました。しかし、特例措置が適用された全ての特区で、この特例は平成28年以降も益々活用されております。例えば、養父市の場合、処理件数が平成28年以降は223件です。それまでの合計83件に対して大躍進いたしました。
 このように、農林水産省は全国化できない根拠として事実に反する説明をしてまいりました。これはおそらく氷山の一角です。私たちの見えないところで、また、企業の農地所有に関しても、こうした説明が関係大臣、副大臣、与党の国会議員の方々にもなされているのではないかと思います。官僚が虚偽説明を行い、政策決定を歪めることはあってはならないことです。政府内での徹底をお願いしたいと思います。
 ここで、養父市長は、残念ながら本日の会議には、ロジスティックの都合で御出席の御希望をかなえられませんでしたが、お手紙を頂戴しましたので御紹介いたします。資料の最後に入っております。この真ん中に、「今回、企業農地取得に関して『順調でなく、進展していない』という全く事実でないことが、政府与党の関係者に伝わり広まっているというお話を聞きました。養父市の現場すら全く見ていない人たちが政治家の方に虚偽説明をしているとしか考えられず、誠に憤りを感じています」と述べておられます。
 以上でございます。 (議事要旨 pp. 5-6 より)


この会議での議論については、ジャーナリストの磯山友幸氏が記事をまとめていらっしゃいます。

菅内閣は「改革政権」なのか? 農地の企業所有で「バトル再燃」


2020/10/03

国家戦略特区におけるスーパーシティ

 国家戦略特区で決まったスーパーシティの紹介文「月刊事業構想11月号」に掲載しました。

2020/07/18

「パンデミックにも対応できるセーフティネットの構築」

日本経済新聞出版から、『コロナ危機の経済学』(編著:小林慶一郎、森川正之)が出版されました。

八田は「第3章 パンデミックにも対応できるセーフティネットの構築」を執筆しました。新型コロナウイルスのパンデミックが露わにした、現行のセーフティネット制度の弱点を解消し、「給付を迅速に支給できるセーフティネット」を構築する方策について、検討・提言しています。