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2021/01/20

朝日新聞1月16日付記事「企業の農地取得2年延長へ」に対する抗議文

国家戦略特区ワーキンググループの委員全員による以下の抗議文を、朝日新聞社に対して、本日18時過ぎに投函しました。

この抗議文は、同紙1月16日記事「企業の農地取得2年延長へ」の明らかな事実誤認に対して、抗議するとともに、迅速な訂正と再発防止策の徹底を求めるものです。

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2021年1月20日

株式会社朝日新聞社
代表取締役社長 渡辺雅隆殿

国家戦略特区ワーキンググループ
座長 八田達夫

ほか委員一同 秋山咲恵、阿曽沼元博、安念潤司、岸博幸、

中川雅之、原英史、本間正義、八代尚宏

 

貴紙1月16日付記事「企業の農地取得2年延長へ」について

本件記事は明らかな誤報を含み、1月18日付で養父市長から抗議文が発出されていますが、いまだに記事の訂正がなされていません。

このような誤った記事は、国家戦略特区の運用に重大な支障をもたらします。

厳重に抗議するとともに、迅速な訂正、今回の事態がなぜ生じたのかの検証、再発防止策の徹底を求めます。

以下の点が明らかな事実誤認です。

1. 記事の記載:「農水省によると、養父市では特例に基づいて6社が計1・65ヘクタールの農地を取得したが、実際に農業を営んでいる面積はそのうちの7%弱にとどまる。」

事実: 実際には、「6社の取得した1.64ヘクタールのうち、実際に農業を営んでいる面積は99.1%。残る0.015ヘクタールも令和3年度中に再開予定」です。

なぜここまで事実とかけ離れた記事が掲載されたのか、およそ理解できません。仮に農水省から誤った情報を伝えられたにせよ、特区の運用を担う内閣府および養父市に確認すべきだったことは当然です。

2. 記事の記載:「農水省幹部は『特例で地域の農業が活性化したとは言えず、取得した後で農地の転売や耕作放棄をするケースもないとは言えない』と話す。」

事実: 実際には、本特例措置により、さまざまな農業経営モデルの確立、6次産業化の促進など、地域農業の活性化が図られ、雇用拡大の効果も生じています。

また、養父市の特例では、耕作放棄などが生じた場合には市が買い戻す制度等が設けられています。これまで問題は生じていません(上記0.015ヘクタールについても再開予定が立っているものです)。

これらのことも、特区の運用を担う内閣府または養父市に確認すれば直ちに判明したはずのことです。また、昨年12月の特区諮問会議においても高い評価がされていたことは議事録を見れば明らかでした。

以上のとおり、本件記事は、当事者に取材するという報道の基本原則を踏み外す、あり得ない誤報です。

2020/12/27

養父市における「企業の農地所有」の成功実績の全国展開

12月21日に開催された「第48回 国家戦略特区諮問会議」の議事要旨が、国家戦略特区のウェブサイトにて公表されました。

この会議では、農業分野の規制改革、特に、兵庫県養父市における「企業の農地所有」特区特例措置の全国展開について議論が行われました。八田は諮問会議において、以下の発言をしました。

○八田議員 ありがとうございます。それでは、資料5を説明させていただきます。
 第1項目は、全国展開についてです。国家戦略特区は規制改革の突破口です。このため、特区で実現した規制改革は実施状況を評価し、その上で特段の問題がなければ、全国展開をするのが原則です。これは特区基本方針に定められております。
 次のページです。農業分野の規制改革についてです。企業の農地所有と農業委員会の特例措置は、特区諮問会議において評価され、十分な成果が確認されており、全国展開を進めるべき段階に来ております。
 企業の農地所有に関しては、従来措置の継続に向けての政務間の御努力に対して敬意を表します。その一方で、養父市限定にとどめず、養父方式の全国展開に向けた協議を早急に進めていただく必要があります。この段階でそうしないことは、特区制度の原則に反することだからです。
 ところが、農林水産省は、全国展開の条件として、特区諮問会議での評価を無視して、改めて新たな基準で評価をするよう、やり直しを求めております。その理由として、与党の反対を挙げており、特区事務局もそれなら仕方がないとしております。
 次に、下から2番目の○です。以下は、詳しめに御説明いたします。元々農林水産省が企業農地所有に反対する理由は、耕作放棄地や産廃の置場になるからだということでした。しかし、養父市での企業参入はそれらの弊害を起こしませんでした。その一方で、雇用を100人増やしました。そのことに関する手続を踏んだ評価を無視して、後出しじゃんけんで新たな基準を際限なく繰り返すことを許せば、この規制は永遠に岩盤であり続けます。企業による農地所有を全国で可能にすることは、日本の規制改革の一丁目一番地です。この改革すらできなければ、日本の成長は望めないと思います。全ての規制所管省庁に対して、法制度に従った行政運営を行うよう、改めて徹底をお願いしたいと思います。
 さて、最後の○ですが、これは農業委員会の特例措置の全国化についてです。農業委員会に関する特例措置によって、特区では、農地の権利移転に関する許可業務を市役所が行えることになりました。これで月1回の農業委員会の総会を待つことなく迅速に許可できるようになりました。このため、特例措置が適用されていた3特区全てで事務処理能力が大幅に短縮されました。
 ところが、11月30日の規制改革推進会議のワーキンググループで、農林水産省は、全国化に反対しました。その根拠として、「平成28年以降は特区適用は行われていない」と説明して、「特区の特例措置は活用されていない」という印象を与えようとしました。しかし、特例措置が適用された全ての特区で、この特例は平成28年以降も益々活用されております。例えば、養父市の場合、処理件数が平成28年以降は223件です。それまでの合計83件に対して大躍進いたしました。
 このように、農林水産省は全国化できない根拠として事実に反する説明をしてまいりました。これはおそらく氷山の一角です。私たちの見えないところで、また、企業の農地所有に関しても、こうした説明が関係大臣、副大臣、与党の国会議員の方々にもなされているのではないかと思います。官僚が虚偽説明を行い、政策決定を歪めることはあってはならないことです。政府内での徹底をお願いしたいと思います。
 ここで、養父市長は、残念ながら本日の会議には、ロジスティックの都合で御出席の御希望をかなえられませんでしたが、お手紙を頂戴しましたので御紹介いたします。資料の最後に入っております。この真ん中に、「今回、企業農地取得に関して『順調でなく、進展していない』という全く事実でないことが、政府与党の関係者に伝わり広まっているというお話を聞きました。養父市の現場すら全く見ていない人たちが政治家の方に虚偽説明をしているとしか考えられず、誠に憤りを感じています」と述べておられます。
 以上でございます。 (議事要旨 pp. 5-6 より)


この会議での議論については、ジャーナリストの磯山友幸氏が記事をまとめていらっしゃいます。

菅内閣は「改革政権」なのか? 農地の企業所有で「バトル再燃」


2018/09/03

『地方創生のための構造改革』(八田達夫・公益財団法人NIRA総合研究開発機構 編著)

地方創生のための構造改革』(八田達夫・公益財団法人NIRA総合研究開発機構 編著)が時事通信出版局から、9月12日に発売されました。ぜひご覧ください。

内容紹介
持続的な地方創生を実現するためには、「参入規制改革」と「地方分権制度」の抜本的な改革とが不可欠!

地方創生は、現在の日本にとって大きな政策課題であり、そのためには構造改革を進める必要があります。構造改革の期待される効果は、地方が比較優位を持つ産業の成長を限定している制度的な障害を取り除くことです。

地方が明確に比較優位を有し、持続的成長が可能な分野は、1. 農業・水産業などの第1次産業、2. 観光産業、および、3. 高齢者用サービス業で、このうち1と2は、既得権を守るための参入規制が成長を阻害しています。3は、現在の地方分権制度が成長を阻害しています。したがって、地方創生のために有効な構造改革は、「規制改革」と「地方分権制度に関する行政改革」とに分類できます。本書はそれぞれの主要な論点を明らかにし、これからの構造改革の拡大の方向を示します。

目次
第I部 規制改革

  • 第1章 農業政策
  • 第2章 漁業政策
  • 第3章 観光政策

第II部 行政改革

  • 第4章 高齢者サービス業
  • 第5章 少子化対策
  • 第6章 地方財政制度改革

2018/01/21

“Economic Challenges Facing Japan’s Regional Areas”, Palgrave Macmillan

Palgrave Macmillanより、論文集 Economic Challenges Facing Japan’s Regional Areas (Tatsuo Hatta Ed.) が発売されました(現在は電子版のみ。ハードカバー版は2月25日発売)。

現在の日本で議論されている最もホットな政策問題について、各分野の専門家が英語で解説した論文集です。

Amazonでの販売はこちら


About this book

This book analyzes issues related to economic challenges for Japan’s regional revitalization. Japan’s responses to such challenges and to the problem of an aging population are of deep interest to the nations outside of Japan. This book brings together 19 articles contributed by Japan’s leading scholars, originally prepared for an online policy information portal, SPACE NIRA launched by the Nippon Institute for Research Advancement (NIRA) with Dr. Tatsuo Hatta, President of the Asian Growth Research Institute, as its General Editor. This book is a significant and useful reference for all scholars, students, and individuals with an interest in current policy issues in Japan.



2017/03/14

『2025年 日本の農業ビジネス』(講談社現代新書)が出版されました

『2025年 日本の農業ビジネス』(21世紀政策研究所=編)が、講談社現代新書の一冊として3月に出版されました。

八田は「第5章  農業の岩盤規制に風穴をあける」を執筆しています。

『2025年 日本の農業ビジネス』(講談社現代新書)
(Amazon → http://amzn.asia/6q77oqX

目次


  1. 農業輸出大国への道(大泉一貫)
  2. 自由貿易はチャンスである(本間正義)
  3. デジタル農業の時代(森川博之)
  4. 農政の誤りを正せば日本農業は必ず伸びる(山下一仁)
  5. 農業の岩盤規制に風穴をあける(八田達夫)
  6. 2025年 日本農業はこう変わる(大泉一貫)
  7. コラム これが日本農業の新しいビジネスモデルだ(青山浩子)