12月21日に開催された「第48回 国家戦略特区諮問会議」の議事要旨が、国家戦略特区のウェブサイトにて公表されました。
この会議では、農業分野の規制改革、特に、兵庫県養父市における「企業の農地所有」特区特例措置の全国展開について議論が行われました。八田は諮問会議において、以下の発言をしました。
○八田議員 ありがとうございます。それでは、資料5を説明させていただきます。
第1項目は、全国展開についてです。国家戦略特区は規制改革の突破口です。このため、特区で実現した規制改革は実施状況を評価し、その上で特段の問題がなければ、全国展開をするのが原則です。これは特区基本方針に定められております。
次のページです。農業分野の規制改革についてです。企業の農地所有と農業委員会の特例措置は、特区諮問会議において評価され、十分な成果が確認されており、全国展開を進めるべき段階に来ております。
企業の農地所有に関しては、従来措置の継続に向けての政務間の御努力に対して敬意を表します。その一方で、養父市限定にとどめず、養父方式の全国展開に向けた協議を早急に進めていただく必要があります。この段階でそうしないことは、特区制度の原則に反することだからです。
ところが、農林水産省は、全国展開の条件として、特区諮問会議での評価を無視して、改めて新たな基準で評価をするよう、やり直しを求めております。その理由として、与党の反対を挙げており、特区事務局もそれなら仕方がないとしております。
次に、下から2番目の○です。以下は、詳しめに御説明いたします。元々農林水産省が企業農地所有に反対する理由は、耕作放棄地や産廃の置場になるからだということでした。しかし、養父市での企業参入はそれらの弊害を起こしませんでした。その一方で、雇用を100人増やしました。そのことに関する手続を踏んだ評価を無視して、後出しじゃんけんで新たな基準を際限なく繰り返すことを許せば、この規制は永遠に岩盤であり続けます。企業による農地所有を全国で可能にすることは、日本の規制改革の一丁目一番地です。この改革すらできなければ、日本の成長は望めないと思います。全ての規制所管省庁に対して、法制度に従った行政運営を行うよう、改めて徹底をお願いしたいと思います。
さて、最後の○ですが、これは農業委員会の特例措置の全国化についてです。農業委員会に関する特例措置によって、特区では、農地の権利移転に関する許可業務を市役所が行えることになりました。これで月1回の農業委員会の総会を待つことなく迅速に許可できるようになりました。このため、特例措置が適用されていた3特区全てで事務処理能力が大幅に短縮されました。
ところが、11月30日の規制改革推進会議のワーキンググループで、農林水産省は、全国化に反対しました。その根拠として、「平成28年以降は特区適用は行われていない」と説明して、「特区の特例措置は活用されていない」という印象を与えようとしました。しかし、特例措置が適用された全ての特区で、この特例は平成28年以降も益々活用されております。例えば、養父市の場合、処理件数が平成28年以降は223件です。それまでの合計83件に対して大躍進いたしました。
このように、農林水産省は全国化できない根拠として事実に反する説明をしてまいりました。これはおそらく氷山の一角です。私たちの見えないところで、また、企業の農地所有に関しても、こうした説明が関係大臣、副大臣、与党の国会議員の方々にもなされているのではないかと思います。官僚が虚偽説明を行い、政策決定を歪めることはあってはならないことです。政府内での徹底をお願いしたいと思います。
ここで、養父市長は、残念ながら本日の会議には、ロジスティックの都合で御出席の御希望をかなえられませんでしたが、お手紙を頂戴しましたので御紹介いたします。資料の最後に入っております。この真ん中に、「今回、企業農地取得に関して『順調でなく、進展していない』という全く事実でないことが、政府与党の関係者に伝わり広まっているというお話を聞きました。養父市の現場すら全く見ていない人たちが政治家の方に虚偽説明をしているとしか考えられず、誠に憤りを感じています」と述べておられます。
以上でございます。 (議事要旨 pp. 5-6 より)
この会議での議論については、ジャーナリストの磯山友幸氏が記事をまとめていらっしゃいます。
菅内閣は「改革政権」なのか? 農地の企業所有で「バトル再燃」
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