原発事故の責任はどこにあるのか
今回の福島第一原子力発電所事故の責任は、東京電力と国の両方にある。
しかし、主たる責任は東電にある。
第 1 に、電力会社は、株主の利益のために、原発を止める選択肢は持っていた。それ
にもかかわらず、リスク覚悟で原発を選択してきた。そもそも原発は、もともと国が直接
経営する予定であったが、電力会社は自ら望んで原発経営を始めたという経緯がある。
第 2 に、東電の豊富な資金力とそれを駆使した政治力によって国の原子力政策をコン
トロールしてきた。
第 3 に、原子力安全委員会の斑目委員長自身が認めるように、今回の地震と津波によ
って起きた福島第一原発事故は人災である。また、事前に津波による動力源喪失の危険性
を指摘されていたのにもかかわらず措置をしていなかった。中規模津波でも、防波堤を越
えていた。したがって、同じことは起き得たのに準備を欠いていたのである。そもそも、
津波が来る前に地震によって動力送電塔は崩壊していた。事後処理を大きく誤った責任も
重い。
一方で、国にも責任がある。
第 1 に、原子力政策におけるガバナンスを、利害関係者に任せ、その結果、原子力政
策が電力会社の言いなりになるのを放置してきたことである。
第 2 に、国が「使用済み核燃料の引き取り費用を明示して、国自身が最終処分する制度」
をつくってこなかったことである。そうなっていれば、電力会社は、処分費用の高さを目
の当たりにして、原発を縮小していく道を、自ら選択することもあり得た。
第 3 に、国が核燃料サイクルを容認したことが、電力会社に使用済み核燃料の最終処
分を差し迫った問題として認識することを妨げてきた。この点に関しても国の責任は重い。
記事全文は以下よりご覧いただけます↓